金沢に残る伝統的で高度な職人の技の伝承と人材の育成を行うとともに、資料の収集、調査及び公開を図ることにより、文化財の修復等を通じ、匠の技への高い社会的評価と一般の理解と関心を深めることを目的として1996年に設置されました。
金沢職人大学校では、このたび、教え、学ぶ職人の匠の技への高い社会的評価と地位向上、更に伝統的文化に対する市民等の理解と関心をより深めてもらうため、子どもから大人までわかりやすい漫画を制作しました。
漫画の制作は坂上暁仁氏に担当いただき、取り上げる建物については、私の方で提案しました。同氏は、第71回ちばてつや賞に入選するなど新進気鋭の漫画家で、歴史的な職人の世界を描くことをテーマの一つにしています。漫画は緻密に描かれており、見ごたえのあるものになっています。
今回は本編28頁ですが、導入的な内容になっており、今後、職大の9科(石工、瓦科、左官科、造園科、大工科、畳科、建具科、板金科、表具科)を取り上げ漫画を制作します。
職大ホームページの下記URLでも公開しています。
これまで、伝統的建築技術は、各地域において親方に弟子入りして学ぶという徒弟的な方法で技術が継承されてきたが、それを担う職人が急速に少なくなっている。金沢職人大学校は、10年程度の職人としての経験者に、熟達したシニアが講師として伝統的建築技術を教え、継承する研修施設である。
金沢は江戸時代において大藩の城下町として栄え、第二次世界大戦の空襲を免れたことから伝統的な様式を残す建築物がまだ多く残されている。また、文化財的な建築物は伝統的な材料と工法で修復されることが原則であり、一般的な木造の社寺建築も同様である。しかし、そうした建築物の修復を担う職人が金沢でも少なくなり、職種によっては他地域から支援してもらう状況がみられた。それに危機感を持った元金沢市長山出保氏が自治体独自の施策として1996年に設立したものである。まことに大胆な決断であった。